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秋口の軽やかさを感じる、快風の季節となりました。
この季節が好きな、SIMPLE is…の星野です。
「お帰り」のチャイムが鳴る18時。
ついこの間まで明るかった空も、
いつの間にか、少しずつ沈むのが早くなりましたね。
つい先月までの酷暑も、今となっては少し遠い記憶。
あっという間に時間は流れていくものだなぁと、
ホットコーヒーを傍らにしみじみ。。なんてのも素敵な季節です。
この季節になると、
街はあっという間にオレンジ色に染まっていきます。
18時のチャイムが鳴り、
「また明日ね。」と、
明日も明後日も、また次も会える。
この喜びを知らずに何気なく別れていた日常。
風に乗ってどこからともなくやってくる
香ばしい夕飯の香りに身を任せながら、
勢いよく玄関の扉を開ける。
そんな子どもの頃の記憶があります。
「ただいま。」
「おかえり。」
そんな何気ないやり取りの先に、
その日の食卓が待っていました。
こんな記憶を呼び覚ましたのは、某ビストロでの食事が、
あまりにも美味しかったからに違いありません。
――――――
星野家の毎日の食卓に並ぶ食材の数々。
そのほとんどが私の祖父によって形づくられたものだったなと今でも思います。
私の祖父は、
趣味とは言えないほどの野菜作りの名人でした。
(……いや、今も現役の名人ではあるのですが。)
(足を悪くしてからは、
自ら畑に出る「野菜作り名人」から、
あれこれと指示を出す「指示出し名人」へと
華麗に変身したようです。苦笑)
―――――
祖父は畑をやっていたこともあり、
ずいぶんと顔が広かったのでしょうか。
週末になると、
サロンへ出かけては、
畑で実った野菜を配りに行きます。
そして帰ってくる頃には、
野菜が栗饅頭になっていたり。
おそらく近所の漁港で釣り上げたのでしょう。
脂ののった小魚になっていたり。
気づけば食卓の上には、
ずいぶんと華やかな料理が並んでいました。
今思えば、
あの食卓には、
その時期にしか味わえないものが
たくさんあったのだと思います。
畑で採れたもの。
誰かからいただいたもの。
その日に釣れたもの。
どれも、
「今だから食べられる」というものばかりでした。
当時は、それが特別なことだとは思っていませんでした。
(星野家は野菜を買う習慣がほぼなかったので、
真冬の部活動で友達のお弁当にプチトマトが入っているとちょこっと羨ましさを感じたものです。)
でも今になって振り返ると、
あの食卓こそが、
私にとっての「旬」を感じる場所だったのだと思います。
――――――
「旬」という言葉を調べると、
→食材などが最も美味しくなる時期、
という意味が出てきます。
けれど、本当にそれだけなのだろうか。
今では、1年を通して多くのものを手に入れることができます。
食べたいものは、
季節を待たずに食べられる。
欲しいものは、
思い立ったその日に届く。
便利になったことで、
暮らしの選択肢はずいぶんと増えました。
その一方で、「今だからこそ感じられるもの」に気づく機会は、
もしかすると、少しずつ減っているのかもしれません。
夕方の空を見て、
そろそろ帰る時間だと気づく。
風の匂いが変わって、
季節の移ろいを感じる。
食卓に並んだ料理を見て、
「もうこんな時期なんだ」と思う。
そんな小さな変化が、暮らしの中に自然とありました。
「旬」とは、単に「美味しい時期」を指す言葉ではなく、
「今、この瞬間」そのものなのだと思います。
その時にしか感じられないこと。
その時だからこそ嬉しいこと。
その瞬間だからこそ、心に残ること。
それらもまた、私たちにとっての「旬」なのではないでしょうか。
――――――
そう考えると、住まいも少し似ているのかもしれません。
家は、長い時間を過ごす場所です。
だからこそ、完成した瞬間だけではなく、
そこで過ごす一日一日が、少しずつ思い出になっていく。
子どもが初めて歩いた日。
家族で囲んだ食卓。
窓から差し込む光の中で過ごした休日。
庭で一緒に過ごした時間。
何気なく交わした会話。
その一つひとつは、その時にしか存在しないものです。
「旬」とは、
「今、この瞬間」ということなのだと思う。
そして、それが住まいとなった時には、
その家で過ごした「想い出の瞬間」こそが、
その人にとっての旬なのかもしれません。
だからこそ、家づくりで考えたいのは、何年先にも残る「もの」だけではなく、
何年経っても思い出したくなる「瞬間」をつくれるかどうか。
私たちSIMPLE is…が大切にしているのも、
いつ、どの瞬間も本当に愛おしい時間が流れていくような住まい。
シンプルにすることは、
何かを減らすことだけではなく、
本当に大切なものを、より鮮明にすること。

だからこそ私たちは、
その人にとっての「旬」が、その家の中にたくさん映し出され、
何気ない毎日が、その人らしく彩られていく。
そんな住まいを、一緒につくっていきたいと思っています。
今日という一日は一度きり。
だからこそ、
「今、この瞬間」を大切に暮らす。
そんな毎日の積み重ねが、いつか振り返った時、
その家だけの、かけがえのない景色になっているのかもしれません。
今しかない時間を、今しかない形で楽しむ。
そしていつか振り返った時に、
「あの時、ここで過ごしていたな。」
と思える瞬間が、たくさん残っている。
そんな住まいであれば、きっと何年経っても、
その家に暮らす喜びを感じられるのではないでしょうか。
皆様にとっての「旬」は、どんな瞬間でしょうか?